「また生理痛で休むの?」という上司の言葉が、今でも耳に残っています。あの時の私は、痛みで立つこともできず、冷や汗をかきながら会社に電話をかけていました。生理痛で仕事を休むことに罪悪感を感じていた私が、なぜ休むことを選択したのか。そして、その後どのように変わったのか。今日は、私の経験を正直にお話ししたいと思います。
我慢し続けていた20代前半
社会人になって3年目の頃、私の生理痛はどんどん悪化していきました。学生時代から生理痛はあったのですが、「これくらいは普通」「みんな我慢している」と思い込んでいました。市販の痛み止めを飲めば、なんとか乗り切れる程度だったからです。
しかし、働き始めてからストレスが増えたのか、生理痛が明らかに悪化しました。特に生理初日と2日目は、下腹部が引きちぎられるような痛みで、まともに座っていることもできません。トイレで吐いてしまうこともありました。それでも、「仕事を休むわけにはいかない」という思いで、無理をして出勤していました。
痛み止めは、もはや効かなくなっていました。朝に2錠飲み、昼にまた2錠飲み、夕方にも飲む。用法用量を守っていないことは分かっていましたが、そうしないと仕事にならなかったのです。デスクに座っていても、痛みで集中できず、ミスが増えました。顔色も悪く、同僚から「大丈夫?」と心配されることも増えました。
でも、休むという選択肢は、私の中にありませんでした。生理痛で休むなんて、甘えだと思っていたのです。周りの女性社員は普通に働いているのに、自分だけ休むなんて恥ずかしい。そう思い込んでいました。今思えば、完全に間違った考え方でした。
ある日、プレゼンテーションの最中に、激しい痛みが襲ってきました。冷や汗が止まらず、言葉が出てこなくなりました。なんとか最後まで発表しましたが、その後トイレに駆け込み、吐いてしまいました。そこで初めて、「このままではいけない」と気づいたのです。
初めて休むことを決めた日
それから数ヶ月後、いつものように生理が始まりました。朝起きた時点で、すでに痛みがありました。「今日も辛い一日になる」と覚悟しながら、なんとか身支度をしました。しかし、玄関を出ようとした瞬間、立っていられないほどの激痛が襲ってきました。
床にうずくまり、しばらく動けませんでした。「これは無理だ」と、その時初めて思いました。震える手でスマートフォンを取り出し、上司に電話をかけました。「体調不良で、今日は休ませてください」と伝えた時、声が震えていました。
上司の反応は、予想通り冷たいものでした。「また体調不良?先月も休んだよね」という言葉に、胸が締め付けられました。生理痛だとは言えませんでした。「女性特有の体調不良です」と濁して伝えましたが、理解してもらえた感じはしませんでした。
電話を切った後、罪悪感で涙が出ました。チームに迷惑をかけている。仕事ができない人間だと思われている。そんな思いで頭がいっぱいでした。でも、体は正直で、動くことができませんでした。結局、その日は一日中ベッドで過ごしました。
痛み止めを飲み、お腹にカイロを貼り、ひたすら横になっていました。仕事のことが気になって、スマートフォンを何度も確認しましたが、同僚からのメッセージには「お大事に」という言葉だけでした。それが余計に申し訳なく感じました。
夕方になって、少し痛みが和らいできました。ベッドから起き上がり、鏡を見ると、顔色の悪い自分が映っていました。「こんなに辛いのに、今まで無理をしていたんだ」と、改めて実感しました。そして、「これは普通じゃない。病院に行かなければ」と決心したのです。
婦人科を受診する決断
休んだ翌日、なんとか出勤しました。案の定、上司からは嫌な顔をされましたが、それよりも自分の体のことが心配でした。昼休みに、スマートフォンで婦人科を検索しました。今まで婦人科に行ったことがなく、正直怖かったのですが、このままではいけないと思いました。
仕事帰りに予約の電話をかけました。受付の方は優しく、「生理痛でお悩みですか?よくいらっしゃいますよ」と言ってくれました。その言葉に、少し安心しました。自分だけが特別なのではないんだ、と。
初めての婦人科受診は、次の週末に予約を取りました。当日は緊張で手が震えていました。待合室には、様々な年齢の女性がいて、みんな普通に雑誌を読んだりスマートフォンを見たりしていました。それを見て、少し気持ちが楽になりました。
診察室に呼ばれ、女性の医師に症状を説明しました。「生理痛がひどくて、仕事を休んでしまいました」と伝えると、医師は「我慢しないで受診してくれて良かったです」と言ってくれました。その言葉に、涙が出そうになりました。
問診の後、内診と超音波検査を受けました。初めての経験で緊張しましたが、医師と看護師が優しく声をかけてくれて、思ったより怖くありませんでした。検査の結果、子宮内膜症の疑いがあることが分かりました。
「子宮内膜症は、放っておくと悪化する可能性があります。早めに受診してくれて良かったです」と医師は言いました。そして、治療の選択肢について説明してくれました。痛み止めの処方、低用量ピルによる治療、漢方薬など、いくつかの方法があることを知りました。
医師は、「まずは低用量ピルを試してみましょう」と提案してくれました。ピルは避妊のイメージが強かったのですが、実は生理痛の治療にも広く使われていることを初めて知りました。pill-labの治療法解説ページ、ピルラボでも、様々な生理痛の治療法について詳しく紹介されていることを後で知りました。医師の説明と合わせて読むことで、より理解が深まりました。
ピルを始めて変わったこと
医師の指示に従い、次の生理が始まった日からピルを飲み始めました。最初の1ヶ月は、軽い吐き気や頭痛などの副作用がありました。「やっぱり薬は怖い」と思いましたが、医師から「最初の1〜2ヶ月は副作用が出ることがあるけど、体が慣れると落ち着くことが多い」と聞いていたので、続けることにしました。
2ヶ月目に入ると、副作用は徐々に軽くなっていきました。そして、驚いたことに、生理痛が明らかに軽くなったのです。今までのような激痛ではなく、「あ、生理が始まった」と気づく程度の痛みになりました。痛み止めを飲まなくても、普通に仕事ができるようになったのです。
3ヶ月目には、生理の量も減りました。今までは夜用のナプキンを日中も使わなければならないほど量が多かったのですが、普通の昼用ナプキンで十分になりました。トイレに行く頻度も減り、外出時の不安もなくなりました。
何より嬉しかったのは、仕事のパフォーマンスが上がったことです。生理中でも集中力が保て、ミスも減りました。生理前のイライラも軽減され、人間関係も良くなった気がします。同僚から「最近、元気そうだね」と言われた時は、本当に嬉しかったです。
ピルを飲み始めて半年が経った頃、定期検診で医師に報告しました。「順調ですね。このまま続けましょう」と言われ、安心しました。子宮内膜症の進行も止まっているようで、早めに治療を始めて良かったと心から思いました。
職場での理解を得るまで
ピルで症状が改善されたことで、仕事を休むことはほとんどなくなりました。しかし、以前休んだことで、上司からの信頼は失われていました。「また休むんじゃないか」という目で見られているのを感じました。
ある日、勇気を出して上司に相談することにしました。「以前、生理痛で休んだことについて、きちんと説明させてください」と切り出しました。上司は少し驚いた様子でしたが、話を聞いてくれました。
「実は、子宮内膜症という病気で、激しい生理痛がありました。今は治療を受けていて、症状はコントロールできています」と説明しました。病名を伝えることで、ただの怠けではないことを理解してもらいたかったのです。
上司の反応は、予想以上に理解のあるものでした。「そうだったんだね。知らなくてごめん。もっと早く言ってくれれば良かったのに」と言ってくれました。その言葉に、肩の荷が下りる思いがしました。
それからは、生理前や生理中に少し体調が優れない時も、「今日は無理をせず、できる範囲で仕事をします」と伝えられるようになりました。上司も配慮してくれるようになり、重要な会議を生理予定日に入れないよう調整してくれることもありました。
女性の同僚にも、自分の経験を話すようになりました。すると、実は他にも生理痛で悩んでいる人が何人もいることが分かりました。「私も病院に行ってみようかな」と言ってくれた同僚もいて、自分の経験が誰かの役に立てることが嬉しかったです。
周囲の反応と社会の課題
自分の経験を話すようになってから、様々な反応がありました。理解してくれる人もいれば、「生理痛くらいで大げさ」と言う人もいました。特に男性社員の中には、生理痛の辛さを全く理解していない人もいました。
ある男性の先輩から、「女性は毎月大変だね。でも、それって普通のことでしょ?」と言われた時は、悔しくて言葉が出ませんでした。「普通」の範囲は人それぞれで、私の痛みは明らかに「普通」を超えていたのです。でも、それを理解してもらうのは難しいと感じました。
一方で、理解を示してくれる男性もいました。妻が同じような症状で悩んでいるという同僚は、「大変だよね。うちの妻も治療を受けて楽になったって言ってた」と共感してくれました。身近に経験者がいると、理解が深まるのだと実感しました。
女性の中にも、温度差がありました。「私は生理痛なんてないから、分からない」という人もいれば、「私も昔はひどかったけど、我慢してたよ」という人もいました。後者のような人は、自分が我慢したから他の人も我慢すべきという考えを持っているようで、それが生理痛で悩む人を追い詰めているのではないかと思いました。
日本の職場では、まだまだ生理に関する理解が不足していると感じます。生理休暇制度がある会社も増えていますが、実際には取得しにくい雰囲気があったり、制度自体を知らなかったりします。もっとオープンに話せる環境が必要だと思います。
我慢しないことの大切さ
今、過去の自分に伝えたいことがあります。それは、「我慢しないで、早く病院に行って」ということです。私は何年も我慢し続け、その間に子宮内膜症が進行していました。もっと早く受診していれば、もっと早く楽になれたのです。
生理痛は「普通」ではありません。もちろん、多少の痛みは生理的なものですが、日常生活に支障をきたすような痛みは、何か原因がある可能性が高いのです。市販の痛み止めが効かない、毎月仕事や学校を休むほどの痛みがある、そんな時は我慢せず婦人科を受診してください。
「婦人科は怖い」「恥ずかしい」という気持ちも分かります。私もそうでした。でも、実際に行ってみると、医師も看護師も優しく、何も怖いことはありませんでした。むしろ、もっと早く行けば良かったと後悔しました。
治療の選択肢は、思っているより多くあります。私の場合はピルが合いましたが、漢方薬が合う人もいれば、痛み止めの種類を変えるだけで改善する人もいます。pill-labのサイト(https://pill-lab.com/)では、様々な治療法が詳しく解説されているので、受診前に読んでおくと、医師との相談もスムーズになります。
仕事を休むことに罪悪感を感じる必要もありません。体調不良で休むのは、当然の権利です。生理痛も立派な体調不良です。無理をして出勤して、パフォーマンスが低下したり、ミスをしたりするよりも、しっかり休んで回復してから出勤する方が、結果的に仕事の質も高まります。
今の私と未来への希望
ピルを飲み始めてから3年が経ちました。今では、生理痛で仕事を休むことはほとんどありません。生理があることを忘れてしまうくらい、快適に過ごせています。定期的に婦人科で検診を受け、子宮内膜症の状態も安定しています。
仕事のパフォーマンスも上がり、昇進もできました。以前は生理のことばかり気にして、仕事に集中できなかったのですが、今は思い切り仕事に打ち込めています。プライベートでも、生理を気にせず旅行やデートの予定を立てられるようになりました。
職場でも、生理に関する理解が少しずつ広がっています。私が自分の経験を話したことで、他の女性社員も悩みを打ち明けやすくなったようです。最近、会社に生理休暇制度が正式に導入され、実際に取得する人も増えてきました。小さな一歩ですが、確実に変化が起きています。
将来、妊娠を希望する時が来たら、ピルの服用を中止すれば良いと医師から聞いています。ピルを飲んでいても、将来の妊娠には影響がないそうです。むしろ、子宮内膜症を治療することで、妊娠しやすくなる可能性もあるとのことでした。
今、生理痛で悩んでいる人に伝えたいことがあります。あなたは一人じゃありません。同じように悩んでいる人はたくさんいます。そして、治療法もあります。我慢する必要はありません。勇気を出して、一歩踏み出してみてください。
生理痛で悩む人へのメッセージ
もし、この記事を読んでいるあなたが、生理痛で悩んでいるなら、ぜひ婦人科を受診してください。「これくらいは普通」「みんな我慢している」と思い込まないでください。あなたの痛みは、あなたにしか分かりません。そして、その痛みを軽減する方法は、必ずあります。
仕事を休むことに罪悪感を感じる必要もありません。体調不良は、誰にでも起こることです。生理痛も、立派な体調不良です。無理をせず、必要な時は休んでください。そして、治療を受けて、根本的に改善することを目指してください。
周囲の理解が得られなくても、落ち込まないでください。理解されないのは、あなたのせいではありません。生理に関する教育や理解が、まだまだ不足しているのが現状です。でも、少しずつ変わってきています。あなたが自分の経験を話すことで、誰かの理解が深まるかもしれません。
治療を始めることは、決して恥ずかしいことではありません。自分の体を大切にすることは、とても重要なことです。健康な体があってこそ、仕事も、プライベートも、充実させることができます。自分を大切にしてください。
私の経験が、誰かの背中を押すきっかけになれば嬉しいです。生理痛で悩んでいる人が、一人でも多く、適切な治療を受けて、快適な生活を送れるようになることを願っています。あなたは、我慢する必要はありません。もっと楽に、もっと快適に生きる権利があるのです。
勇気を出して、一歩踏み出してみてください。その一歩が、あなたの人生を大きく変えるかもしれません。私がそうだったように。
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